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能管という笛  

グーグルで能管と検索すると「能管 吹き方」「能管 販売」「能管 教室」「能管 製作」「能管 運指」と出ます。
僕のブログに「能管」でたどり着くことは、まずあり得ないでしょう。
「能管」なんて書いたことあったかな?くらいですから。
そもそも能楽関係の人は能管なんて言いません。単純に笛としかいいません。
能に使う笛は能管に決まっているからです。
僕の肩書きも「笛方」森田流です。
以前、狛江能楽普及会の記事で書いたことがあります。

能管についてなぜ書かないかと言われれば、いつもすぐそこにあって当たり前すぎて書こうと思った事がないからです。
現在凄く広い高級アパートに住んでいますが、我が家ではどこにいても大抵手を伸ばせば届く範囲にあります。
多くても5歩。さっき測りました。
まあ、特別な存在というわけでなく、体の延長線上にあるものだから、ですか。。。

さて、真面目に笛について書いてみようと思ったのは、最近笛を見る機会が立て続けにあったからです。
また能管で検索される方もいるのでは?と思ったからです。
そんな能管を探している方に、僕の戯言を聞いていただこうと思った次第です。
おそらくご同業の方も読まれるかもしれません。
そんな同業者は、扇風機の風のごとく軽くスルーして下さい。
ともかく、読まないで下さい。読んでも内容はありません。。。




仕事ですので以前から、いつもどこに行っても笛を探しています。
しかしなかなかありません。あると言えばあるのですがないのです。
大抵は、???なものです。
特に能管は日本の笛の中では、最も製作が難しく、高価であり、また吹く人も非常に少ない楽器です。
工業製品でなく手作業で作られている為当たり外れが極端に大きく、鳴らない笛は鳴るようになりません。

しかもドレミが出ないし、合奏出来ない楽器だし・・・。

今後も「ヤマハ製の能管」というのは出ないでしょう。
国内には素晴らしいフルートのメーカーさんは沢山あるのに。


仕事先ではよく良い笛の選び方と言うのを聞かれますが、正直困ってしまいます。
基準点が沢山ある事と、ニュアンスを伝える事が難しいからです。
お教えしたところで、理解していただくことはまず無理だからです。

さて、色々な笛を見ていつも思うことは大抵「初めの見た目でどんな音が出て、どんな音律で、どんな性格の笛かなんとなくわかる」ということです。
要するに全体の雰囲気です。
まったく答えになっていないし、参考にもならないとは思いますが。

能管の場合「笛筒」がセットになっていることが多いです。
普段はこの筒に笛を入れて持ち運びをして、舞台には笛を筒に入れ、腰に差して出ます。
この筒は美術品レベルの物もあれば、実用品レベルの物まで様々あります。
先日見た筒は、今まで見た中で最も美しい物でした。
僕は舞台では使う勇気がない、そんな品です。もしも何かあったら責任が取れません><

この筒に騙されてはいけないのです。
いや、騙されてもいいのです。美術品として見るのであれば。
筒単体でも美術品として価値があります。
僕も「いきなり訳も分からず、アラブのお金持ちに気に入られた。いくらかかっても良いから好きな物を作っていいと言われた」または「旅先でたまたま埋蔵金を発見した。現在の価値にして約3億。全部くれると言われたが、悪いので20%にあたる6000万円だけもらうことにした」ということがあれば現代の蒔絵・螺鈿・銀細工・組紐の技術の粋を尽くし作ってもらいます。

能管は楽器です。楽器はどんなに見た目が良くてもダメなのです。
しかしなぜか良い笛は良い雰囲気をしています。
単純な見た目の問題ではなく、トータルバランスが良いのです。
また「道具」としての誇りが笛から感じられます。
「道具」というものは「使用感」がすべてです。
使用感については個人差・慣れがありますが、楽器としての「基本性能が高ければ」初めは鳴らなくても良い音が鳴るようになるでしょう。
または鳴らなくても、持っているだけで満足感が得られるでしょう。

筒と中身はセットであることが基本ですが、入れ替わっていることも多いです。

値段の問題もあります。この値段でこの笛・この音ならというコストパフォーマンスです。
しかし、ある一定以上のレベルの笛に関しては、このCP比率は崩れます。
要するに安くて良い笛もあるし、高くてそこそこの笛もあります。
それに筒の値段もトータルで組み込まれます。

現在、能管は「能楽」だけで使われているものではなく、「歌舞伎(長唄)」「神楽」「祭り囃子」などでも使われています。
能管は「能の為に作られた笛」ですが、現今それぞれの芸能の性質によって好まれる笛も違います。
このあたり僕的には「能の笛なんだから能で使える笛にしてくれ」って思ったりしちゃいますけど。

聞かれることが多いので書いてみました。

自分の笛を撮ってみました。
_MG_0489.jpg
笛は龍の鳴き声と言われます。

以下は参考になります。

能管は能が今の形になってから出来た楽器のようですが、「能管の音」自体は能が出来る以前からあったようです。
http://www.amazon.co.jp/縄文の音-土取-利行/dp/4791763270
参考にしてみてください。

こんなのもあります。森田都紀さん。
http://kaken.nii.ac.jp/en/r/10572258
 
林豊寿先生。
林先生は元々森田流の笛方でいらっしゃいました。
林先生の笛は「音そのもの」と「音律」が良く「使える道具」です。
http://www.carinavi.org/ja/career/381/

鹿島清兵衛 (鹿嶋清兵衛)
http://www6.plala.or.jp/guti/cemetery/PERSON/K/kajima_s.html
http://blog.goo.ne.jp/mycrop/e/ee20a126df76359e96582533977c1fdc
日本の写真史に残る人。晩年森田流笛方となって梅若万三郎の「関寺小町」を勤め亡くなります。僕の先輩です。
三木如月の名で舞台記録に残っています。森田流の森の字が「木」が三本の木だから三木。


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コメント

『楽器』としての楽器

拍手を3桁くらいしたい気分です。…けちらず5桁と言いなさい。。
扇風機の風は自然で優しいものですよね^^

さて、私も本気で。
観賞するのが目的の、楽器の形をした美術品。
どこまでも実用品としての楽器。
両者は見た目はほぼ同じでも、『楽器』としての使命を課して手に取った瞬間、その本質の差異を露にします。
製作者がそれを意図したり手を抜いた訳ではなくても、結果的にその物の立ち位置が決まってしまっている。

ヴァイオリンの楽器選びでも、往々にして同様の事態が起こります。
クレモナのオールド、というブランドのみで実用品を選ぶと痛い目に遭います。
また、まごうかたなき上質の本物であっても、アマティなどは経年変化と構造の変化によって既に現代においては実用品としての価値を失いつつあります。しかし購入しようとすると、現在でも億単位は当然。あと100年もすればストラド・グァルネリもそうなるだろうというお話を聞きました。
そもそもヴァイオリンの取引額は誰の作品で誰が使っていたか、などが重視されますので、まあ当然と言えば当然ですが。

よい楽器であれば使っていくうちによい音が出る。これも同じです。
経年変化(主に乾燥ですが)プラス上質の振動を与える人間、これによってヴァイオリンはその真価を発揮します。誰も使わない状態で100年ほど置いてあったストラドが、信じ難いほど若い音がした、という話を聞いたこともあります。

また、楽器そのものの話ではない余談ですが、楽器本来の音(デフォルトの音とでも言いますか)しか引き出せないようでは、楽器に舐められているのだとも聞きます。楽器に自分の音を含んで奏でさせなければ、その楽器を使う意味がないのだ、とまでおっしゃった方がおられました。

話を戻して。
安く無銘であっても、良い作りのものは良い音が出る。そして安くても「よい」楽器は雰囲気で解る。
全く同感です。私も経験があります。
また、プロの方の小鼓を少しだけ触らせていただいた時、近付いてきただけでそれまで使っていた廉価品との格の違いを感じて鳥肌が立った事がありました。


…すみません、長々と。以前よりお笛とヴァイオリンの共通点を強く感じておりましたもので。。

アラブのお金持ちはどうか解りませんが、先生は裕福な方に肩入れされる可能性はあるのでは?(笑)
つややかで華やかで、かつ渋さもある音、舞台を拝見していて毎回満腹感を覚えます^^ ヒシギは相変わらず禊をしている様ですし。(何を偉そうに…
犬か豚に嗅ぎ回らせて埋蔵金を探させるのもなかなか。

仁 #Ctw2G0tM | URL
2011/07/29 09:52 | edit

No title

さすが「はなしかた」ん?(はやし‥‥)の笛奏者でいらしてお話が面白く感心してしまいました。

どんな高価な楽器でも演奏に耐えうる間はそれなりの人に使っていただき音を披露して欲しいですね(*^_^*)

あ! #- | URL
2011/08/01 20:34 | edit

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楽器(こと木製・竹製の)の本質について、これほどまでに頷けたものは今までありません。 多少難しい部分もあるのですが、是非ご一読を。 グーグルで能管と検索すると「能管 吹き方」「能管 販売」「...

幽かな風 ~君がもとで咲く花なれば~ | 2011/07/29 22:37

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